
2022年の北アルプス縦走では、Nikon F3 + AF NIKKOR 28-70mm f/3.5-4.5D の1本体制で歩きました。軽さ、機動力、そしてフィルムの懐の深さがうまく噛み合い、結果としてかなり満足のいく山行になりました。
そして今、あの緊張感のある岩稜帯「北鎌尾根」を経て槍ヶ岳を目指す計画を改めて考えています。となると、また悩むのが「Nikon F3にどのレンズを1本だけ付けていくのか」という問題です。
登山では、街歩きのように何本もレンズを持ち替えるわけにはいきません。重さはもちろん、安全性、機動力、構図の自由度、信頼性まで含めて考える必要があります。
今回は、過去の実体験と今の自分の撮り方をベースに、槍ヶ岳・北鎌尾根でNikon F3に付けるべき“1本”を改めて本気で考えてみます。
- 1. 登山レンズ選びで最優先にすること
- 2. なぜ28mm付近が登山で強いのか
- 3. 候補レンズを本気で比較してみる
- 4. 比較表:登山で本当に効くのはどれか
- 5. 北鎌尾根を想定した現場運用の考え方
- 6. 最終結論:槍ヶ岳・北鎌尾根に持っていく1本はこれ
- 7. FAQ:Nikon F3で登山用レンズを選ぶときの疑問
- 8. まとめ|山のレンズ選びはスペックより“自分の登り方”に合うかどうか
1. 登山レンズ選びで最優先にすること

まず大前提として、北鎌尾根は“写真のために無理をする場所ではない”と思っています。安全第一。そのうえで、山に持っていくカメラ機材はできるだけシンプルにしたい。
結論から言うと、槍ヶ岳や北鎌尾根のようなルートでは「レンズは基本1本」が正解だと考えています。
レンズ交換の手間が増えると、単純に立ち止まる時間が増えますし、風や砂埃の中での交換はリスクにもなります。だからこそ、今回のテーマは「一番うまく妥協できる1本はどれか」です。
重さ
F3本体は決して軽いカメラではありません。だからこそレンズ側は軽くしたい。岩場では数百グラムの差が地味に効いてきますし、疲労感が集中力を削るのは本当に危険です。
画角
山では足場が限られるので、街中のように自由に下がったり寄ったりできません。そう考えると、やはり広角寄りが有利です。特に28mm前後は、広すぎず狭すぎず、稜線・人物・空・岩をまとめやすい絶妙な画角だと感じています。
信頼性
山では“写りの差”よりも“ちゃんと撮れるかどうか”の方が大事です。F3はその点で非常に信頼できるカメラ。レンズもまた、機械的にシンプルで、扱いに慣れているものほど強いと思っています。
2. なぜ28mm付近が登山で強いのか

山で撮りたいものを考えると、意外と望遠の出番は限られます。
もちろん遠くのピークを切り取ったり、稜線の重なりを圧縮して撮る楽しさはあります。ただ、登山中に本当に多いのは、
- 山小屋前での記録
- 歩いてきた稜線のスケール感
- 同行者と風景を一緒に入れた写真
- 岩場の緊張感や高度感
- テント場や朝夕の空気感
こういったカットです。
そのときにちょうどいいのが28mm前後。24mmほど広すぎないので不自然になりにくく、35mmよりもしっかり風景を入れられる。「ちゃんと山を撮っている感じ」が出やすい画角なんですよね。
だからこそ、今回もひとつの基準として28mmを含むかどうかを大きな判断軸にしています。
3. 候補レンズを本気で比較してみる
(A)AF NIKKOR 28-70mm f/3.5-4.5D
まずは、2022年の縦走で実際に使って結果の出ている1本です。
- 強み:28mmスタートで70mmまでカバーできる万能さ
- 強み:比較的軽量でサイズ感も悪くない
- 強み:1本で広角〜中望遠まで対応できるので、交換不要
- 弱み:F値はやや暗めで、夕景や薄暗い場面には少し不利
ただ、このレンズの一番の魅力は、やはり「迷わなくていい」ことです。山ではこれが本当に強い。広くも撮れるし、少し寄ることもできる。稜線の風景も、山小屋前の記録も、人物スナップも、だいたいこれ1本で何とかなります。
F3ではAFは使えませんが、絞りリングもありますし、MF運用に何の問題もありません。今回の本命候補です。
(B)AF NIKKOR 24-50mm f/3.3-4.5
こちらは、より広角寄りに最適化したいときの候補です。
- 強み:24mmスタートの安心感
- 強み:山のスケール感をより大きく表現しやすい
- 弱み:50mmまでなので遠くを切り取る余裕は少ない
もし今回の目的が「とにかく北鎌尾根のダイナミックな風景を広く残したい」に寄るなら、このレンズはかなり魅力的です。24mmの差は意外と大きく、狭い場所や足場の悪い場所で一歩下がれない場面では助かるはずです。
ただ、その分テレ側が短いので、1本で全部済ませるにはやや割り切りが必要になります。
(C)AI-S Nikkor 28mm f/2.8
これはかなり惹かれる存在です。
- 強み:軽い、コンパクト、堅牢
- 強み:MFの気持ちよさが抜群
- 強み:画角が山にちょうどいい
- 弱み:当然ながらズームできない
単焦点1本で山に入るというのは、ある意味で一番潔い選択です。撮り方もシンプルになりますし、機材への信頼感も高い。F3との相性も非常に良く、操作していて気持ちがいいはずです。
ただ、北鎌尾根のようなルートで「今ちょっと寄りたい」「あの先のピークだけ抜きたい」と思ったときにズームできないのは、やはり悩ましい。撮影体験としてはとても美しいけれど、実用面ではズームに一歩譲る印象です。
(D)AI-S Nikkor 35mm f/2
35mmは旅では大好きな画角です。人と風景のバランスがよく、記録性も高い。ただ、登山となると少しだけ話が変わります。
- 強み:人物・山小屋・テント場の雰囲気が撮りやすい
- 強み:自然な遠近感で使いやすい
- 弱み:山の広がりを撮るには少し狭い
山旅の空気感を切り取るにはとてもいいレンズですが、北鎌尾根や槍ヶ岳というテーマで考えると、やはり28mmの方がしっくりきます。
(E)AI Nikkor 50mm f/1.8
これは軽くて明るくて、本当に優秀なレンズです。ただ、今回のテーマでは主役にはなりにくいです。
- 強み:軽い、明るい、夜やテント場で有利
- 強み:稜線の圧縮表現ができる
- 弱み:1本で山の景色をこなすには狭い
もしテント泊で夜景や星も撮りたい、という明確な目的があるならサブとしては非常に魅力的です。ただし今回は“1本だけならどれか”という話なので、主力としては外れます。
4. 比較表:登山で本当に効くのはどれか
| 候補 | 画角/開放 | 重量イメージ | フィルター径 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| AF 28-70/3.5-4.5D | 28-70mm / F3.5-4.5 | 軽量クラス | 52mm | 汎用性が非常に高い | 暗所には少し弱い |
| AF 24-50/3.3-4.5 | 24-50mm / F3.3-4.5 | 軽量クラス | 52mm | 24mmの安心感 | テレ側が短い |
| AI-S 28/2.8 | 28mm / F2.8 | とても軽い | 52mm | 堅牢・軽量・気持ちいい | 単焦点の割り切りが必要 |
| AI-S 35/2 | 35mm / F2 | 軽い | 52mm | 人物と風景のバランスが良い | 広がりは少し物足りない |
| AI 50/1.8 | 50mm / F1.8 | 最軽量級 | 52mm | 夜・圧縮表現に強い | 山の主力としては狭い |
個人的に地味に重要だと思っているのが、52mm径でそろえやすいこと。 プロテクトフィルターや必要に応じたフィルター類を共用しやすく、荷物を減らしやすいのも登山ではかなり大きいです。
5. 北鎌尾根を想定した現場運用の考え方
山での撮影は、街のスナップよりもさらに“撮れるときに撮る”が重要になります。北鎌尾根のようなルートならなおさらです。
- ゾーンフォーカス:28mm前後ならF8〜11である程度の範囲にピントを置きやすく、歩留まりを上げやすいです。
- 露出:ネガなら少しプラス寄りも安心ですが、夏山の白い雲やハイライトは飛ばしすぎ注意です。
- 持ち出し方:両手を空けるのが最優先。ショルダーやポーチ運用を前提にしたいです。
- レンズ交換不要:1本体制なら、立ち止まる理由が減ります。これは安全面でも大きいです。
- 夜景や星:そこまで狙うかどうかでサブレンズの必要性が変わります。
つまり、レンズ選びというより、どういう行動を山で取りたいかが先にあるべきなんですよね。今回の自分は、立ち止まりすぎず、でもちゃんと記録も表現もしたい。そう考えると、やはり万能ズームが強いです。
6. 最終結論:槍ヶ岳・北鎌尾根に持っていく1本はこれ

結論として、今回の本命はやはりAF NIKKOR 28-70mm f/3.5-4.5Dです。
理由はシンプルで、
- すでに2022年の山行で結果が出ている
- 28mmスタートで山の広がりを押さえられる
- 70mmまであるので少し寄りたい時にも対応できる
- 1本で完結できるので迷わない
です。
今回の結論: 槍ヶ岳・北鎌尾根でNikon F3に付けるレンズは、まずAF NIKKOR 28-70mm f/3.5-4.5Dを第一候補にします。
もし「もっと広角が欲しい」という気持ちが強くなったら、代替プランとして24-50mm。さらに軽さと堅牢さを極限まで優先したいならAI-S 28mm f/2.8。このあたりが現実的な第二候補です。
でも、今の自分が山で一番欲しいのは“美しい制約”よりも、“安全に撮り切れる自由さ”なんですよね。そう考えると、やはり28-70Dのバランスは非常に優秀です。
準備しておきたい機材リンク
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7. FAQ:Nikon F3で登山用レンズを選ぶときの疑問

Q1. AFレンズはNikon F3で問題なく使える?
絞りリングのあるAF Nikkorなら、F3で問題なく使えます。AFはもちろん使えませんが、MF運用として普通に成立します。
Q2. ズームと単焦点、どちらが登山向き?
安全性と機動力を優先するなら、個人的にはズーム1本が合理的です。単焦点は魅力的ですが、足場の制約がある山では自由度が下がりやすいです。
Q3. 50mmは山で使えない?
使えないわけではありません。むしろ切り取りや夜には強いです。ただし、1本だけで山全体をこなすには少し狭い、という印象です。
Q4. 槍ヶ岳なら広角単焦点の方が正解では?
それも十分ありだと思います。ただ、自分は今回「撮影の美学」よりも「迷わず撮れること」を優先したいので、ズームを選びます。
8. まとめ|山のレンズ選びはスペックより“自分の登り方”に合うかどうか

山で持っていくレンズを考えるとき、つい描写性能やスペック表を見比べてしまいます。でも実際に一番大事なのは、そのレンズが自分の登山スタイルと撮り方に合っているかなんですよね。
今回は、北鎌尾根から槍ヶ岳を目指すという前提で改めて考えた結果、やはりAF NIKKOR 28-70mm f/3.5-4.5Dを続投するのが自分には一番しっくりきました。
軽さ、画角、信頼性、そして実績。この4つをバランスよく満たしてくれるからです。
もちろん、もっと広角に振るなら24-50mm、もっと潔くいくならAI-S 28mm単焦点という道もあります。でも今の自分にとっては、「安全に、楽しく、迷わず切れること」が一番大事。その意味で、28-70Dはやっぱり強いです。
槍ヶ岳に向かうその日まで、まだ少し悩むかもしれません。でも、こうやってレンズを考えている時間もまた、登山の楽しみのひとつなんですよね。
今回も最後まで読んでくれありがとうございます。
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