京都での生活の中で、久しぶりに「読みたい」と思える本に出会いました。
本との出会いは不思議です。
昔はよくわからなかった作品が、ある季節、ある街、ある生活の中で、急に自分の中へ入ってくることがあります。
今回、ぼくにとってそれが村上春樹さんの『ノルウェイの森』でした。
京都で暮らすように滞在していた時間、友人の部屋で流れてきたビートルズ、秋の空気、出町柳の街の気配。
そういうものが重なって、久しぶりに本を読む喜びを思い出したので、この記事にまとめておきたいと思います。
- 京都で再会した村上春樹さんの小説
- 京都で生活していた時間と、ビートルズの「ノルウェーの森」
- 『ノルウェイの森』を読み出したら止まらなかった
- 『風の歌を聴け』から『1973年のピンボール』へ
- 『羊をめぐる冒険』で一気に村上春樹の世界に引き込まれた
- 次に読みたいのは『ダンス・ダンス・ダンス』
- 『グレート・ギャツビー』も読んでおきたい
- 秋深まり、冬になる季節に村上春樹を読む
- まとめ:本との再会は、生活を少し豊かにしてくれる
京都で再会した村上春樹さんの小説

何かに没頭していないと落ち着かない性格のぼくは、最近、本ばかり読んでいます。
それは、なんていうか「読みたくて読んでいる」というより、少しムキになりながら読んでいるような状態です。
何にそんなにムキになっているのかというと、村上春樹さんの小説です。
何年か前に、ぼくは村上春樹さんの『風の歌を聴け』を読みました。
きっかけは、仲の良い友人が「村上春樹が好き」と言っていたこと。
ぼくは、好きな人や仲の良い人が大切にしているものに興味を持つタイプです。
その人がなぜそれを好きなのか、できれば少しでも理解したいと思ってしまうんですね。
そういったきっかけで読み出した、ぼくにとっての村上春樹ファースト作品が『風の歌を聴け』でした。
ただ、正直に言うと、当時のぼくには全然わかりませんでした。
ぼくは今まで、子供の頃から現在に至るまで、わりと本を読むタイプで生きてきました。
小説をまったく読まないタイプではありません。
子供の頃から本を読み、自分の見識を本によって広げてきた感覚があります。
それでも、村上春樹さんの『風の歌を聴け』を読んだときは、どうにも掴みきれませんでした。
ここが少しぼくの厄介なところなのですが、読むなら絶対にファーストからがよかったんです。
いわゆる売れている名作や、いちばん有名な作品から入るタイプではなく、最初の作品から入りたい。
ファーストから入って、セカンドにいって、サードにいって……。
そんなふうにして、作者と一緒に進んでいく過程のようなものを楽しみたいんです。
それで読み始めた村上春樹。
でも、全然わからないまま年月が経ちました。
京都で生活していた時間と、ビートルズの「ノルウェーの森」
それからいろいろあって、ぼくは京都で友人と生活をするような時間を過ごしていました。
東京と京都を行き来する生活。
その友人というのが作家で、小説を書いています。
そんな彼と過ごす日々の中で、改めて何か小説を読みたい気分になりました。
どうせ読むなら、自分に良い影響を与えてくれるような作品を読みたい。
そんなことをぼんやり考えていたとき、友人がランダムで再生していたYouTubeから、ビートルズの曲が流れてきました。
そのとき、ふっと『ノルウェイの森』が頭に浮かびました。
ぼくは昔からビートルズが好きです。
その中でも「Norwegian Wood」が収録されているアルバム『Rubber Soul』が好きでした。
このアルバムは雰囲気が独特で、少しどんよりしていて、どこか湿度がある。
その感じがすごく好みだったんです。
ただ、近年ではビートルズの中でも『Revolver』や『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』へ強く傾倒していたこともあり、『Rubber Soul』の存在をどこか忘れていました。
それが、京都で暮らしていた秋の時間に、ふいに戻ってきたんです。
10月初旬の京都。
出町柳周辺で生活していて、秋の香りが少しずつ深まっていく季節。
そこでビートルズの『Rubber Soul』を思い出し、今の季節と強くリンクしました。
そして、ノルウェイの森といえば、村上春樹さんの小説にも同じタイトルの作品があったな、と。
秋、ビートルズ、ノルウェイの森、村上春樹。
その流れが、自分の中でとても自然に繋がったんです。
『ノルウェイの森』を読み出したら止まらなかった
読み出したら、止まりませんでした。
久しぶりに没頭するように『ノルウェイの森』上下巻を読みました。
すごくおもしろかった。
これは単純に「物語がおもしろい」というだけではなく、その季節に、その場所で、その気分で読んだからこそ、自分の中に入ってきたのだと思います。
京都の夜。
深夜喫茶。
少し冷たい風。
生活の中にある孤独や、友人との会話や、読みかけの本。
そういったものが、『ノルウェイの森』の空気と重なっていきました。
昔のぼくだったら、もしかしたらここまで深く楽しめなかったかもしれません。
でも、今のぼくにはしっくりきた。
本は、読むタイミングで全然違うものになるんだなと思いました。
そして『ノルウェイの森』を読んだら、もっと知りたくなったんです。
村上春樹さんの作品や、その世界について。
『風の歌を聴け』から『1973年のピンボール』へ
『ノルウェイの森』を読んだあと、ぼくはもう一度、村上春樹さんの作品を最初から追いかけたいと思いました。
そこで改めて、デビュー作である『風の歌を聴け』。
そしてセカンド作品である『1973年のピンボール』へ。
『1973年のピンボール』は、正直、読んだ当初はよくわかりませんでした。
でも、それでいいのかもしれないとも思いました。
村上春樹さんの作品は、読んですぐに全部を理解するというより、あとからじわじわ戻ってくるようなところがあります。
ある言葉、ある場面、ある登場人物の空気感が、読後しばらくしてから自分の中で意味を持ち始める。
『1973年のピンボール』も、読み終わった直後より、その後に『羊をめぐる冒険』を読んだあとで、少しずつ良さがわかってきたように思います。
『羊をめぐる冒険』で一気に村上春樹の世界に引き込まれた
そして、鼠三部作と言われる流れの中で『羊をめぐる冒険』の上下巻も読みました。
これは非常におもしろかったです。
『風の歌を聴け』と『1973年のピンボール』で、ぼんやり漂っていたものが、『羊をめぐる冒険』で一気に物語として動き出したような感じがありました。
もちろん、ぼくの読み方が正しいとか、そういうことではありません。
ただ、ぼくの中では『羊をめぐる冒険』を読んだことで、前の2作品が少しずつ見え方を変えていきました。
ああ、きっかけっておもしろいなと思いました。
この季節に京都で暮らして、友人の携帯から流れてきたビートルズの曲から『ノルウェイの森』を思い出して、そこから村上春樹に戻ってくる。
そして、今や鼠三部作を読み終えている。
なんだか、生活の中でふいに再会したものが、また次の場所へ連れて行ってくれるような感覚がありました。
次に読みたいのは『ダンス・ダンス・ダンス』
現在は、ネットで新たに村上春樹さんの作品となる『ダンス・ダンス・ダンス』の上下巻を中古で注文しています。
まだ自宅に届くまで数日あるようなので、その到着を待っている時間もまた楽しいです。
本を注文して、届くまで待つ。
その数日間って、なんだか独特の楽しみがありますよね。
しかも、それが今の自分の生活に必要な本だと思えているときほど、届くまでの時間も少し特別になります。
季節や、その時の気持ち、その時の風、生活の中で鳴っていた音楽。
そういったものからインスピレーションが起きて、行動に至るまでの流れが、自分の中でとても気持ちの良い一連の動作のように思えました。
すごく素敵な気持ちになっています。
『グレート・ギャツビー』も読んでおきたい
『ダンス・ダンス・ダンス』が届くまでの間に、スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』を読んでおこうと思っています。
もちろん、こちらも村上春樹さん翻訳の作品です。
村上春樹さんの小説を読み進めていくと、その作家がどんな本を読み、どんな音楽を聴き、どんなものに影響を受けてきたのかも気になってきます。
作品だけを読むのではなく、その作品の向こう側にあるものまで少しずつ辿っていく。
そういう読書の仕方は、音楽を聴くことにも似ています。
ひとつのバンドを好きになったら、そのバンドが影響を受けた音楽を聴いてみる。
その先にまた別のアーティストがいて、さらにその先にも音楽がある。
本も同じように、ひとつの作品から別の作品へ、別の作家へ、別の時代へ繋がっていく。
そういう連鎖がたまらなく楽しいんです。
秋深まり、冬になる季節に村上春樹を読む
秋が深まり、冬になっていくこの季節に、村上春樹さんの小説を読むのはすごくいいです。
なんででしょうね。
少し冷たい空気。
夜の長さ。
コーヒーの温度。
ひとりで歩く道。
誰かと一緒にいる時間の中にある、少しの孤独。
そういうものと、村上春樹さんの小説は相性がいいように思います。
今回、サムネイルにしたのは京都は左京区にある「深夜喫茶 しんしんしん」さんでの一枚です。
「ささやかな夜を売っています」という言葉がとても素敵です。
京都に来た時はぜひ、深夜喫茶しんしんしんさんへどうぞ。
本を読むことは、どこか旅に似ていると思います。
自分の部屋にいながら、別の場所へ行ける。
現実の生活をしながら、別の時間を生きられる。
そして、ある一冊の本が、自分の生活の景色を少し変えてくれることがあります。
今回のぼくにとって、『ノルウェイの森』はそんな一冊でした。
昔はよくわからなかった村上春樹さんの作品が、京都での生活や、ビートルズや、秋の空気を通して、ふいに自分の中に入ってきた。
それがとても嬉しかったんです。
まとめ:本との再会は、生活を少し豊かにしてくれる
今回、京都での生活の中で、村上春樹さんの小説と再会しました。
きっかけはとても些細なものでした。
友人の部屋で流れてきたビートルズ。
秋の京都。
昔から好きだった『Rubber Soul』。
そこから『ノルウェイの森』を思い出して、村上春樹さんの作品を読み進めるようになりました。
本は不思議です。
昔読んでわからなかったものが、時間を置いて読むと、急にわかることがある。
あるいは、わかるというより、自分の生活に馴染むことがある。
今の自分だから読める本があるんだと思います。
だから、昔よくわからなかった本も、またいつか手に取ってみるといいのかもしれません。
生活の中で再会した本は、思っていたよりも大きな喜びをもたらしてくれます。
京都で過ごした時間と、村上春樹さんの小説。
しばらくこの熱は続きそうです。
今回も最後まで読んでくれありがとうございます。
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