
村上春樹さんの『辺境・近境』に収録されている「神戸まで歩く」をなぞって、西宮から三宮まで歩いてきました。
その旅のゴールとして向かったのが、神戸三宮の老舗ピザ屋「ピノッキオ」です。
シリアルナンバー付きのシーフードピザとビールが、長い徒歩旅の最後に最高のご褒美になりました。
- 村上春樹『辺境・近境』の「神戸まで歩く」をなぞった旅のゴールへ
- 西宮から三宮まで、寄り道込みで約30km歩いた
- 二宮温泉で汗を流して、いよいよピノッキオへ
- 神戸三宮の老舗ピザ屋「ピノッキオ」とは
- 閉店前の静かな店内。最後のお客として奥のテーブルへ
- 作品になぞらえて、まずはビール。そしてシーフードピザを注文
- シリアルナンバー付きのピザが運ばれてきた瞬間
- ピノッキオのシーフードピザが、想像以上に本当においしかった
- ビール2杯とシーフードピザ。旅の終わりとして完璧だった
- 僕にとって旅は、作品や音楽に引っ張られて始まることが多い
- ゴールデンウィークに家にこもるより、無理やり旅に出てよかった
- 神戸でピザを食べるなら、村上春樹ファンでなくてもピノッキオはおすすめ
- まとめ|ピノッキオのシーフードピザは、旅のゴールにふさわしい一枚だった
村上春樹『辺境・近境』の「神戸まで歩く」をなぞった旅のゴールへ

5月のゴールデンウィークのど真ん中。
僕は村上春樹さんの『辺境・近境』に収録されている短編「神戸まで歩く」をなぞるように、西宮から神戸・三宮方面まで歩く旅をしてきました。
作品の中では、神戸まで歩いた先でピザを食べる場面が描かれます。
そこに出てくるピザには、シリアル番号のようなものが付いている。
店名そのものがはっきり書かれているわけではありませんが、村上春樹さんが好きだった神戸のピザ屋として、ピノッキオというお店はとても有名です。
僕も以前から、その存在は知っていました。
「村上春樹さんの作品に関係のある、神戸のシリアルナンバー付きピザ屋さん」
その情報だけが、ずっと頭の片隅に残っていました。
ただ、神戸に行く機会があっても、なんとなく行けないまま時間だけが過ぎていました。
そんな中で、今回ようやく「行くなら今だ」と思うきっかけがありました。
それが、新宿にある老舗ジャズ喫茶・ジャズバーDUGが閉店してしまうという出来事でした。
以前から気になっていたお店、いつか行こうと思っていた場所、会いたい人。
そういうものは、いつまでもそこにあるわけではない。
最近、そのことをかなり強く感じています。
だからこそ、ピノッキオにも「いつか」ではなく、ちゃんと行っておきたい。
そして、せっかく行くなら、ただピザを食べに行くのではなく、作品になぞらえて西宮から神戸まで歩いてみたい。
そう思って、かなり弾丸ではありましたが、神戸・大阪旅に出ることにしました。
📚 旅のきっかけになった村上春樹『辺境・近境』
今回の旅の元になった「神戸まで歩く」は、村上春樹さんの紀行エッセイ『辺境・近境』に収録されています。神戸・西宮・芦屋あたりを文学散歩してみたい方には、かなりおすすめの一冊です。
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西宮から三宮まで、寄り道込みで約30km歩いた

村上春樹さんの作品の中では、西宮から三宮までおよそ15kmほどという感覚で描かれています。
ただ、僕の場合はかなりあちこち寄り道をしました。
村上春樹さんに関係する場所を調べながら歩いたり、道に迷ったり、気になる公園や図書館に立ち寄ったり、写真を撮ったり。
その結果、Apple Watchで計測した歩行距離は約30kmになっていました。
午前10時半から11時ごろに西宮周辺を歩き始め、途中で休憩を挟みながら、三宮に着いたのは18時か19時ごろだったと思います。
ゴールデンウィークらしい快晴の日で、日差しも強く、歩いているだけでかなり汗をかきました。
帽子をかぶっていたこともあり、三宮に到着した頃には頭も体もかなりベタベタです。
本当なら、すぐにピノッキオに向かいたい。
でも、その状態でずっと楽しみにしていたピザを食べに行くのは少し違う気がしました。
せっかくなら、身も心もすっきりした状態で行きたい。
長い旅のゴールとして、ちゃんと整えてからお店に入りたい。
そこで、先に三宮近くの二宮温泉へ向かうことにしました。
お風呂で汗を流し、体を少し休め、ようやく「これでピノッキオへ行ける」という気持ちになりました。
今回の旅の流れは、すでに別記事でもまとめています。
村上春樹さんの「神戸まで歩く」をなぞった徒歩旅そのものに興味がある方は、下記の記事もあわせて読んでいただけると嬉しいです。
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二宮温泉で汗を流して、いよいよピノッキオへ

三宮に到着してから、まず二宮温泉で汗を流しました。
長い距離を歩いたあとに入るお風呂は、本当に気持ちいいです。
体にまとわりついていた汗が流れて、足の疲れが少しほどけて、気持ちも落ち着いていく。
そして、ようやくピノッキオへ向かいました。
お店の営業時間を考えると、あまりのんびりしすぎるわけにもいきません。
ピノッキオは公式サイト上では、土日祝は11:30〜23:00、ラストオーダー22:00と案内されています。
この日はゴールデンウィーク中だったので、僕の中では「20時くらいに着ければ大丈夫だろう」という計算でした。
実際、お風呂を出て、三宮の街を少し歩き、ようやくピノッキオに到着。
長らく気になっていたお店に、しかも自分の足で西宮から歩いてたどり着いた。
このときの嬉しさは、なかなか言葉にしにくいものがあります。
ただピザを食べに来たのではなく、1日かけてここまで歩いてきた。
作品の中で目指されていた場所へ、自分の足でたどり着いた。
そう思うと、お店の前に立った時点で、すでにかなり満たされていました。
神戸三宮の老舗ピザ屋「ピノッキオ」とは

ピノッキオは、神戸市中央区中山手通にある老舗のイタリアンレストランです。
神戸・三宮エリアのピザ屋さんとしてかなり有名で、公式サイトでも「自慢のピザ」が紹介されています。
特に印象的なのが、ピザ1枚ずつにシリアルナンバーが付いていること。
公式フードメニューにも、ピザには1枚ずつシリアルナンバーを付けている旨が案内されています。
これが、村上春樹さんの『辺境・近境』を読んだ人にとっては、とても大きな意味を持ちます。
作品の中で描かれる、番号の付いたピザ。
それを実際に自分のテーブルで見ることができる。
この体験がしたくて、ピノッキオに行きたいと思っていた人も多いのではないでしょうか。
ただ、実際に行ってみて思ったのは、ピノッキオの魅力は「村上春樹さんの作品に関係するから」だけではないということです。
ピザそのものが、本当においしい。
むしろ、作品に出てくるという文脈がなくても、普通にまた食べに行きたいと思えるお店でした。
店舗情報
- 店名:ピノッキオ(PINOCCHIO)
- 住所:兵庫県神戸市中央区中山手通2-3-13 太洋ビル1F
- 電話:078-331-3330
- 公式サイト:神戸イタリアンレストラン PINOCCHIO
- 公式Instagram:@pinocchio_kobe
営業時間や定休日は変更になる可能性があります。
訪問前には、必ず公式サイトやInstagram、予約サイトなどで最新情報を確認するのがおすすめです。
神戸ピノッキオのGoogleマップ
閉店前の静かな店内。最後のお客として奥のテーブルへ

僕がお店に着いたのは、夜の遅めの時間でした。
店内に入ると、入り口付近のテーブルに2名の女性のお客さんがいました。
食事はすでに終えられていたようで、ドリンクを飲みながら向かい合ってお話をされていました。
その日の僕は、おそらく最後のお客だったと思います。
女性スタッフの方が2名、そしてピザを焼いている男性スタッフの方が1名。
奥のテーブルへ案内していただきました。
長い距離を歩き、温泉で汗を流し、ようやくたどり着いたピノッキオ。
その静かな店内に座った瞬間、なんとも言えない達成感がありました。
旅の終わりに、やっと椅子に座る。
しかも、ずっと気になっていたお店で。
そして、このあと村上春樹さんの作品になぞらえるように、ビールとシーフードピザを注文する。
もうその時点で、かなり幸せでした。
スタッフの方々も丁寧で、閉店前の時間帯にもかかわらず、気持ちよく対応していただきました。
旅の最後に、こういう丁寧な接客を受けられるのは本当にありがたいです。
作品になぞらえて、まずはビール。そしてシーフードピザを注文

『神戸まで歩く』の中では、ピザを注文してからビールを飲み、ピザが来てからもう一杯ビールを飲むような流れが描かれています。
それを読んでいた僕としては、ここはもう同じようにやるしかありません。
まずビールを一杯。
そして、シーフードピザを注文しました。
正直に言うと、僕は普段、シーフード系のピザをあまり食べません。
ピザを頼むときは、マルゲリータやサラミ、チーズ系、ミート系に寄りがちです。
でも、この日は違います。
作品になぞらえて歩いた旅のゴールです。
ここでシーフードピザを頼まなかったら、たぶん後悔する。
そう思って、迷わずシーフードピザにしました。
ビールを飲みながら、ピザが焼き上がるのを待つ時間。
これがまた良かったです。
30km近く歩いた体に、冷たいビールが染みる。
昼間に見た西宮や芦屋、夙川、神戸の街の景色が少しずつ頭の中でほどけていく。
そして目の前には、これから旅のゴールとして食べるピザがやってくる。
こういう時間があるから、旅はやめられないんだと思います。
🍺 ピザ時間を家でも楽しむなら
ピノッキオのようなお店の味は現地で味わうのが一番ですが、家でピザとビールを楽しむ時間もまた良いものです。旅の余韻に浸りながら、自宅でピザ会をするのもおすすめ。
シリアルナンバー付きのピザが運ばれてきた瞬間

しばらくして、シーフードピザが運ばれてきました。
そして、そこにはシリアルナンバーが付いていました。
これです。
これを見たかった。
作品の中で読んでいた、番号の付いたピザ。
それが、自分のテーブルに運ばれてくる。
これは村上春樹さんのファンにとっては、かなり嬉しい瞬間だと思います。
もちろん、番号そのものに何か特別な意味があるわけではないのかもしれません。
でも、創業以来、焼かれてきたピザにひとつひとつ番号が付いているというのは、それだけでお店の歴史を感じます。
自分が食べる一枚が、その長い時間の中の一枚になる。
それって、ちょっと良いですよね。
旅のゴールとして、これほど分かりやすい演出はありません。
ピザそのものが届いた嬉しさ。
シリアルナンバーを見た嬉しさ。
そして、ここまで歩いてきた自分の時間が報われるような嬉しさ。
いろんな感情が一気に重なりました。
ピノッキオのシーフードピザが、想像以上に本当においしかった

そして、肝心の味です。
結論から言うと、本当においしかったです。
これは、村上春樹さんの作品になぞらえた旅の高揚感を抜きにしても、かなりおいしいピザでした。
まず、生地が良い。
耳までおいしい。
カリッとしていて、でもただ硬いだけではなく、噛むほどにちゃんと味がある。
普段、ピザの耳をなんとなく残したくなることもありますが、ピノッキオのピザは耳までしっかり食べたいタイプのピザでした。
そして、シーフードの具材とチーズ、生地のバランスがとても良い。
僕はこれまで、シーフードピザを積極的に食べてきたタイプではありません。
むしろ、人生でちゃんとシーフードピザを意識して食べたのは初めてに近いかもしれません。
でも、このシーフードピザは本当においしかった。
「ああ、シーフードピザってこんなにおいしいんだ」と素直に思いました。
宅配ピザも好きです。
サイゼリヤのような気軽に食べられるピザも好きです。
中目黒のダ・イーサや、吉祥寺のトニーズピザのような有名店で食べるピザも、それぞれに良さがあります。
でも、ピノッキオのピザには、また別の魅力がありました。
どこか懐かしくて、でもちゃんとおいしい。
派手すぎないのに、食べ進めるほど満足感がある。
そして、耳までしっかりおいしい。
「近くにあったら定期的に行きたい」と、本気で思いました。
村上春樹さんの作品に関係するから有名になった部分は、もちろんあると思います。
でも、実際に食べてみると、作品関係なく並ぶ人がいるのも分かります。
これは、ちゃんとピザそのものが強いお店です。
ビール2杯とシーフードピザ。旅の終わりとして完璧だった

ピザが到着する頃に、もう一杯ビールを注文しました。
作品と同じように、ビールを2杯。
そして、シーフードピザ。
ただそれだけなのですが、今回の旅の流れの中では、これ以上ないくらい完璧な組み合わせでした。
長く歩いた体に、ビールが染みる。
カリッとしたピザの耳を噛む。
シーフードの旨みとチーズの香りが広がる。
そして、テーブルにはシリアルナンバー付きの小さな紙がある。
この時間のために歩いてきたんだなと思いました。
もちろん、ただ電車で三宮まで行って、ピノッキオでピザを食べてもおいしいと思います。
でも、30km近く歩いたあとに食べるピザは、やっぱり違います。
食べ物の味って、単に舌だけで決まるものではないんですよね。
そこに至るまでの時間。
歩いた道。
汗。
疲れ。
本を読みながら探した景色。
二宮温泉で流した汗。
そして、ようやくたどり着いた店の灯り。
そういうものが全部、ピザの味に混ざってくる。
だから、この日のピノッキオのシーフードピザは、僕にとってかなり特別な一枚になりました。
⌚ 旅の記録にはスマートウォッチも便利
今回のように長距離を歩く旅では、Apple Watchで距離やルートを残しておくと、あとから旅の記録としてかなり面白く振り返れます。
僕にとって旅は、作品や音楽に引っ張られて始まることが多い

今回の旅は、村上春樹さんの背中を追うような旅でもありました。
でも、僕は自分のことを特別な“春キスト”だとは思っていません。
村上春樹さんの本の中にも、面白いと思うものもあれば、そこまで自分には刺さらなかったものもあります。
それでも、村上春樹さんの作品や、彼が好きな音楽、文章の中に出てくる街やお店には、ずっと興味があります。
今回の「神戸まで歩く」も、そのひとつでした。
僕にとって旅は、いつも何かの作品や音楽、誰かの言葉に引っ張られて始まることが多いです。
『ライ麦畑でつかまえて』に興味を持って、ニューヨークの公園に行ってみたこと。
ジャック・ケルアックの『オン・ザ・ロード』に影響を受けて、友人とアメリカ大陸を横断したこと。
音楽が好きで、ルート66を車で走ってみたいと思ったこと。
好きなバンドや写真家の影響で、インドを旅したこと。
そういう旅の延長線上に、今回の村上春樹さんの「神戸まで歩く」がありました。
旅の理由は、必ずしも立派でなくていいと思っています。
好きな作家の作品に出てきたから。
好きなミュージシャンが歌っていたから。
昔から気になっていた店があるから。
閉店してしまう前に行きたいから。
それくらいの理由で、旅に出てもいい。
むしろ、そういう個人的な理由で出かける旅の方が、記憶に残ることが多い気がします。
今回のピノッキオも、まさにそうでした。
ゴールデンウィークに家にこもるより、無理やり旅に出てよかった

少し個人的な話になりますが、僕は毎年ゴールデンウィークに何をするか、あまりきっちり決めていません。
誕生日が4月の末なので、誕生日を祝ってもらったあとに平日がやってきて、そのまま連休に入る。
いつも、そんな流れです。
でも、連休中に一人で家にこもってぼーっとしていると、精神的に少し落ち込んでしまうことがあります。
だから、毎年どこかへ出かけるようにしています。
ものすごく計画的な旅ではなくても、とにかく家を出る。
無理やりでも移動する。
どこか知らない街へ行く。
今回も、正直かなり弾丸でした。
5月1日の夕方に深夜バスを取り、そのまま関西へ向かう。
翌朝に大阪へ着き、西宮へ移動し、そこから三宮まで歩く。
そして夜にピノッキオでピザを食べる。
冷静に考えると、なかなか無茶な旅です。
でも、行ってよかった。
西宮から神戸まで歩くことで、作品の世界に少しだけ入れた気がした。
神戸の街の空気を体で感じられた。
二宮温泉で汗を流せた。
そして、ピノッキオで本当においしいピザを食べることができた。
家にいたら、きっとこの一日は存在しませんでした。
だから、やっぱり旅はいいなと思います。
神戸でピザを食べるなら、村上春樹ファンでなくてもピノッキオはおすすめ

ここまで村上春樹さんの話をかなりしてきましたが、最後に強く書いておきたいことがあります。
ピノッキオは、村上春樹さんのファンでなくても普通におすすめできるピザ屋さんです。
もちろん、作品を読んでから行くと楽しさは増します。
シリアルナンバー付きのピザを見た瞬間の感動も大きいです。
「神戸まで歩く」をなぞって行けば、なおさら特別な体験になると思います。
でも、それを抜きにしても、ピザがおいしい。
耳までおいしい。
ビールに合う。
店内の雰囲気も良い。
スタッフの方も丁寧。
神戸三宮で、夜にゆっくりピザを食べたいときにかなり良い。
これは、単なる“聖地巡礼のお店”ではありません。
ちゃんと料理が強く、長く愛されてきた理由があるお店だと思いました。
神戸でピザを食べたい方。
三宮で老舗のイタリアンに行きたい方。
村上春樹さんの作品に出てくる場所を巡ってみたい方。
そして、旅の締めにおいしいビールとピザを楽しみたい方。
ピノッキオ、とてもおすすめです。
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今回も最後まで読んでくれありがとうございます。
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今回のピノッキオ訪問は、村上春樹さんの『辺境・近境』に収録されている「神戸まで歩く」をなぞる旅のゴールでした。神戸・大阪旅、村上春樹さんゆかりの芦屋散歩、二宮温泉の記事もあわせてどうぞ。




