それはハッピーエンドなんだ

フリーランスを卒業して起業した30代独身男の、写真と音楽と旅と日常の記録。

村上春樹ゆかりの芦屋を歩く|芦屋市立図書館打出分室・打出公園・芦屋宝盛館をめぐる文学散歩


村上春樹さんの『辺境・近境』に収録されている短編「神戸まで歩く」をなぞって歩いた旅の途中、芦屋でいくつかの“村上春樹さんゆかりの場所”に立ち寄りました。

芦屋市立図書館打出分室、打出公園、そして少年時代に通っていたとされる宝盛館。

この記事では、村上春樹さんの作品や生い立ちに触れながら、芦屋を歩いて感じたことをまとめます。

 

 

 

村上春樹さんの「神戸まで歩く」をなぞった旅で、芦屋という街に出会った

芦屋を歩きながら村上春樹さんの背景に少し触れる旅

先日、村上春樹さんの『辺境・近境』に収録されている短編「神戸まで歩く」をなぞるように、西宮から神戸・三宮方面まで歩いてきました。

もともとの目的は、作品に出てくる神戸の老舗ピザ店へ行くこと。
ただ、せっかくなら作品に書かれている道のりを自分の足で歩いてみたいと思い、ゴールデンウィークに関西へ向かいました。

▶︎村上春樹『辺境・近境』の「神戸まで歩く」をなぞって歩いたゴールデンウィーク|西宮から三宮、そしてピノッキオまでの30km旅 - それはハッピーエンドなんだ

 

実際に歩いてみると、西宮から芦屋、そして神戸へ向かう道中には、村上春樹さんの生い立ちや作品に関わる場所が点在していることを知りました。

その中でも特に印象に残ったのが、今回紹介する以下の3つの場所です。

  • 芦屋市立図書館打出分室
  • 打出公園、通称「おさるの公園」
  • 阪神芦屋駅近くの書店「宝盛館」

正直に言うと、僕は自分のことをいわゆる「ハルキスト」だとは思っていません。
村上春樹さんの作品にも、すごく好きなものもあれば、正直あまり刺さらなかったものもあります。

ただ、村上春樹さんが書く文章、音楽へのまなざし、ビートルズをはじめとしたカルチャーとの距離感、そしてご自身が長年発信してきた言葉には、興味を持つ部分がとても多いです。

だからこそ、作品そのものだけではなく、村上春樹さんがどんな街で育ち、どんな場所に触れてきたのかを知ってみたいと思いました。

今回の芦屋散策は、最初から「村上春樹さんゆかりの地をめぐろう」と決めていたわけではありません。
「神戸まで歩く」を体現しようとした結果、その道中で村上春樹少年の背景に触れることになった。
その流れが、個人的にはとても自然で、かなり面白かったです。

📚 今回の旅の入口になった本

「神戸まで歩く」は、村上春樹さんの紀行・エッセイ集『辺境・近境』に収録されています。今回のように実際に街を歩きながら読むと、かなり体験が変わる一冊です。

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芦屋市立図書館打出分室|村上春樹少年が通ったとされる図書館へ

芦屋市立図書館打出分室

今回、芦屋を歩いていてまず印象に残ったのが、芦屋市立図書館打出分室です。

打出分室は、阪神本線の打出駅周辺にある図書館です。
村上春樹さんが少年時代に通っていた図書館として、ファンの間でも知られている場所のひとつです。

実際に訪れてみると、建物の空気がとても良いです。
ただ新しいだけの公共施設ではなく、どこか時間の重なりを感じるような佇まいがありました。

「ここで本を読んでいた少年が、のちに世界的な作家になる」

そう考えると、なんだか少し不思議な気持ちになります。

外観がのっそりとした雰囲気でとても不思議です

もちろん、図書館は今も地域の方が使う公共施設です。
観光地として騒がしく訪れる場所ではなく、あくまで静かに、周囲に配慮しながら訪れるべき場所だと思います。

それでも、村上春樹さんの作品に興味がある人にとっては、この図書館の前に立つだけでも、かなり感じるものがあるはずです。

本を読むという行為は、とても個人的なものです。
でも、誰かがかつて本を読んだ場所に立つと、その個人的な行為が、土地や時間とつながって見えることがあります。

今回の打出分室は、まさにそういう場所でした。

芦屋市立図書館打出分室のGoogleマップ

『海辺のカフカ』の図書館モデル説について思うこと

図書館という場所が持つ静かな力

芦屋市立図書館打出分室について調べていると、村上春樹さんの『海辺のカフカ』に登場する図書館のモデルなのではないか、という話に出会います。

ファンの間では、以前からそうした推測や議論があるようです。

ただ、村上春樹さんご本人は、打出図書館が『海辺のカフカ』に出てくる図書館のモデルではないという趣旨の発言をされています。
なので、ここで「モデルです」と断定することはできません。

むしろ、断定してしまうのは少し違う気もします。

でも一方で、少年時代に通っていた図書館という場所が、村上春樹さんの中に何らかの形で残っていたとしても、それはとても自然なことだと思います。

明確なモデルではない。
でも、図書館という場所の記憶、静けさ、本棚の匂い、受付の空気、窓から入る光。
そういうものが、作品世界の奥の方に影響している可能性はあるのではないか。

これはあくまで一読者としての感想ですが、実際に現地に立ってみると、そう想像したくなる気持ちはとてもよく分かります。

そして、村上春樹さんご本人が、図書館が存亡の危機にあるなら続いてほしい、というような趣旨の言葉を残されていることも、個人的にはとても印象に残りました。

図書館は、派手な施設ではありません。
でも、誰かの人生にとって、かなり大きな意味を持つ場所になることがあります。

村上春樹さんにとっても、打出分室がそういう場所のひとつだったのかもしれない。
そう思いながら歩く芦屋は、ただの街歩きとは少し違って見えました。

📖 図書館という場所が気になるなら

『海辺のカフカ』は、村上春樹作品の中でも「図書館」という場所の印象が強く残る作品です。打出分室を訪ねる前後で読むと、図書館を見る目が少し変わるかもしれません。

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打出公園、通称「おさるの公園」へ|『風の歌を聴け』に触れる場所

打出公園、通称「おさるの公園」

芦屋市立図書館打出分室とあわせて訪れたいのが、打出公園です。

この公園は、村上春樹さんのデビュー作『風の歌を聴け』に出てくる「猿の檻のある公園」のモデルではないかとされている場所です。

かつては公園内に本当に猿がいた檻があったようですが、現在はもちろん猿はいません。

※Googleマップにて過去の写真に遡ると実際に檻が確認できました!(2022年10月)


僕が訪れたときも、そこにあるのは静かな公園の風景と公園で楽しむ子どもとその親御さん、何やら地域でイベントもやっていたようで何やら紙を持って公園を散策する大人たちがいらっしゃいました。

 

今ではサルやカニの遊具があります。

「おさるの公園」と呼ばれていた場所に実際に立ってみると、作品の中に出てくる風景が、少しだけ現実のものとして近づいてきます。

『風の歌を聴け』は、村上春樹さんのはじまりの作品です。
その最初期の作品に関わるかもしれない公園が、今も芦屋の街に静かに存在している。

それだけでも、村上春樹さんの作品が好きな人にとっては、行ってみる価値があると思います。

ただし、ここも地域の方が普通に利用する公園です。
写真を撮る場合も、子どもや周囲の方が写り込まないように配慮することが大事です。
文学散歩は、あくまで生活の場にお邪魔しているという感覚を忘れないようにしたいところです。

打出公園のGoogleマップ

📘 『風の歌を聴け』を読み返したくなる場所

打出公園に行くなら、村上春樹さんのデビュー作『風の歌を聴け』もあわせて読み返したくなります。初期作品ならではの空気感が、芦屋の街歩きと重なります。

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阪神芦屋駅近くの宝盛館へ|村上春樹少年が本を買っていたとされる本屋さん

阪神芦屋駅近くの宝盛館

今回の芦屋散歩で、もうひとつどうしても立ち寄りたかった場所があります。
それが、阪神芦屋駅の近くにある本屋さん、宝盛館です。

調べてみると、村上春樹さんが少年時代に本を買っていたとされる書店として紹介されていました。
打出公園からも歩いて行ける距離で、だいたい500〜600メートルほどの感覚でした。

実際にお店に入ってみると、今も普通に地域の本屋さんとして営業されていて、そのこと自体がとても良かったです。

本屋さんという場所は、個人的にかなり好きです。
大きな書店も良いですが、街に根ざした本屋さんには、その土地の時間や生活が残っている気がします。

スタッフの方に少しお話を伺うと、1995年の阪神・淡路大震災の際に、当時のレイアウトとは変わっているとのことでした。

つまり、村上春樹さんが少年時代に通っていた頃と、今の店内は同じではありません。
それでも、この場所に本屋さんがあり、ここで村上春樹少年が本を買っていたかもしれない。
そう思うだけで、かなり胸にくるものがありました。

僕はこの宝盛館で、村上春樹さんの短編集を一冊購入しました。
購入したのは、『螢・納屋を焼く・その他の短編』です。

本を購入させていただきました

帯には『ノルウェイの森』の原点「螢」を収めた初期短編集という趣旨の言葉があり、それを見て購入を決めました。

旅先の本屋で、その土地に関わる作家の本を買う。
これはとても良い体験です。

ただAmazonで買うのとは違い、その本に「その場所で買った」という記憶がつきます。
今回買った一冊も、これから読むたびに芦屋の街や、宝盛館のことを思い出すと思います。

宝盛館のGoogleマップ

📕 宝盛館で購入した一冊

今回、宝盛館で購入したのは『螢・納屋を焼く・その他の短編』。旅先の本屋で買った本は、それだけで特別な一冊になります。

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阪神芦屋駅・打出駅周辺は、村上春樹さんの背景を知る文学散歩にちょうどいい

阪神芦屋駅・打出駅周辺を歩く

今回訪れた芦屋市立図書館打出分室、打出公園、宝盛館は、どれも比較的歩いて回れる距離にあります。

「神戸まで歩く」のルート全体の中で立ち寄るなら、かなり自然に組み込めます。
また、神戸まで歩くほどの長距離ではなく、芦屋周辺だけを半日かけて散策するのも良いと思います。

特に村上春樹さんの作品が好きな方にとって、このエリアはかなり面白いです。

  • 少年時代に通ったとされる図書館
  • 作品に関連するとされる公園
  • 本を買っていたとされる書店
  • 阪神間の街並み
  • 西宮から神戸へ続く生活の道

こうしたものが、派手な観光地としてではなく、普通の街の中にあります。

そこが良いんですよね。

道中に見つけた教会

「村上春樹ゆかりの地」という言葉だけで考えると、どうしても特別な場所を想像してしまいます。
でも実際に歩いてみると、そこにあるのは本当に普通の街です。
住宅があり、学校があり、公園があり、本屋があり、図書館がある。

でも、その普通の街の中に、作品や作家の背景につながるものが残っている。
そこに気づけるのが、文学散歩の楽しいところだと思います。

阪神芦屋駅のGoogleマップ

打出駅のGoogleマップ

村上春樹さんを“聖地巡礼”するというより、作品の背景を歩いて知る旅

打出公園にて。村上春樹さんについて正式に張り出されています。

今回の芦屋散歩で感じたのは、村上春樹さんゆかりの場所をめぐることは、単なる聖地巡礼とは少し違うということです。

もちろん、好きな作家に関係する場所に行くのは楽しいです。
「あの作品に関係しているかもしれない」
「ここに村上春樹少年がいたかもしれない」
そう思いながら歩くのは、ファンとして素直にワクワクします。

でも、それ以上に面白かったのは、村上春樹さんという作家の背景に、街の空気として触れられたことでした。

芦屋や西宮、神戸の街には、坂があり、川があり、海があり、住宅街があり、昔からの本屋や図書館があります。
そのひとつひとつが、村上春樹さんの作品に直接つながっているわけではないかもしれません。

でも、こういう街で育った人が、ああいう文章を書くようになったのかもしれない。
そう想像しながら歩くと、作品の読み方が少し変わります。

東京で村上春樹さんを読むと、どこか抽象的な作家として感じることがあります。
でも芦屋や西宮を歩くと、村上春樹さんがかつて一人の少年としてそこにいたことが、少しだけ具体的に見えてきます。

それが、とても楽しかったです。

🚶 文学散歩にあると便利な旅グッズ

芦屋・西宮・神戸を歩くなら、軽いバッグと歩きやすい靴があるとかなり快適です。図書館や本屋で本を買う可能性もあるので、折りたたみバッグも便利です。

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芦屋文学散歩の注意点|生活の場にお邪魔している意識を忘れない

芦屋市立図書館打出分室にて。

今回紹介している場所は、どれも一般の観光施設というより、地域の生活に根ざした場所です。

図書館は利用者のための公共施設。
公園は子どもや地域の方が使う場所。
本屋さんは今も営業しているお店。
駅周辺も、当然ながら多くの方の日常があります。

なので、村上春樹さんのファンとして訪れる場合でも、周囲への配慮はかなり大事だと思います。

  • 図書館内では静かに過ごす
  • 公園では子どもや利用者が写り込まないようにする
  • 学校や住宅街では立ち止まりすぎない
  • 本屋さんでは普通のお客さんとして利用する
  • 写真撮影は迷惑にならない範囲で行う

文学散歩は、自分にとっては特別な旅でも、そこに住む人にとっては日常です。

だからこそ、その日常を邪魔しないように歩くことが、こういう旅を続けるうえで大事なのだと思います。

静かに歩く。
少し立ち止まる。
必要以上に騒がない。
本屋さんでは本を買う。

それくらいの距離感が、芦屋の街にはちょうど良い気がしました。

芦屋を歩くなら、村上春樹作品を何冊か持っておくともっと楽しい

今回のように、村上春樹さんの背景に触れる芦屋散歩をするなら、関連する作品をいくつか読んでおくとより楽しめます。

特におすすめなのは、以下の作品です。

  • 『辺境・近境』:今回の旅の入口。「神戸まで歩く」収録
  • 『風の歌を聴け』:打出公園に関心がある人に
  • 『海辺のカフカ』:図書館という場所に惹かれる人に
  • 『螢・納屋を焼く・その他の短編』:宝盛館で買った一冊として個人的に思い出深い

村上春樹さんの作品は、ただ物語を追うだけではなく、音楽や街、食べ物、本屋、図書館、旅といった要素がいろいろな形で出てきます。

だから、実際に歩くと、その作品の見え方が変わるのが面白いです。

📚 村上春樹作品をまとめて探す

芦屋・西宮・神戸を歩いたあとに読む村上春樹作品は、また違った印象で読めるはずです。中古本や文庫版も含めて探してみるのがおすすめです。

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まとめ|村上春樹さんの背景を知るなら、芦屋市立図書館打出分室・打出公園・宝盛館は外せない

村上春樹さんの背景に触れる芦屋散歩

今回は、村上春樹さんの『辺境・近境』に収録されている「神戸まで歩く」をなぞった旅の途中で立ち寄った、芦屋周辺のゆかりの場所についてまとめました。

実際に歩いてみて感じたのは、芦屋という街には、村上春樹さんの作品や生い立ちに関心がある人にとって、かなり興味深い場所が残っているということです。

  • 芦屋市立図書館打出分室は、村上春樹少年が通ったとされる図書館
  • 打出公園は、『風の歌を聴け』に出てくる公園のモデルとされる場所
  • 宝盛館は、少年時代に本を買っていたとされる本屋さん
  • 阪神芦屋駅・打出駅周辺は、歩いてめぐるのにちょうどいい距離感
  • 文学散歩として訪れるなら、地域の方への配慮を忘れずに歩きたい

僕自身、村上春樹さんに対して「すべてが大好き」というタイプの読者ではありません。
それでも、これだけ長く興味を持ち続けている作家であることは間違いありません。

作品そのものだけではなく、村上春樹さんが育った街、通った図書館、足を運んだかもしれない本屋、作品に影響したかもしれない公園。
そうした場所に実際に立ってみることで、作品との距離が少し変わりました。

村上春樹さんが好きな方。
『神戸まで歩く』を読んで、実際に西宮から神戸まで歩いてみたい方。
芦屋・西宮・神戸の文学散歩に興味がある方。

そういう方は、ぜひ芦屋市立図書館打出分室、打出公園、宝盛館にも立ち寄ってみてください。

単なる観光ではなく、本を読むことと、街を歩くことが少しだけ重なる。
そんな、とても楽しい時間になると思います。

 

今回も最後まで読んでくれありがとうございます。

 

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